私が活動していたサックス四重奏グループではサキソフォックスの楽譜を数多く演奏させていただきました。
基本スタイルはソプラノ、アルト、テナー、バリトンなので、アルト2本のスタイルが多いサキソフォックスの楽譜はソプラノに書き換えて演奏していました。
時には、生徒さん同士のアンサンブルで使用することもあり、バリトンサックスがないためテナーに書き換えて使用することもありました。
楽器がないから諦める、ではなく、書き換えて演奏を楽しみましょう。ない音域は工夫をすればなんとかなります。
KAWAIの「スコアメーカー」を使い、簡単に出来てしまう書き換え楽譜の作成方法をご紹介していきます。
まずはこちらの記事をお読みください。
こちらで作成した『威風堂々』のパート譜を使い、1番アルトサックスからソプラノサックへの書き換えを解説していきます。
1番アルトサックスのパート譜(PDF)を読み込む
読み込む楽譜を用意しましょう。スキャンや写真などからも読み込むことが出来ますが、一度PDFにしておくとなにかと便利です。
こちらからダウンロードできます
楽譜認識
スコアメーカーを起動し、「楽譜認識」をクリックします。
「ファイル」から目的の楽譜を開きます。
全部で5ページあることが分かります。
1番アルトサックスは2ページ目ですので、
2~2と記入し、「OK」で開きます。
開きました。
楽譜をデータ化する
次に、編集するためにデータ化していきましょう。
パート構成
「パート構成」をクリックします。
「パートリスト」に「Alto」とありますが、Alto Saxではないので注意です。
後の移調に関わってきますので、Alto Saxに変更します。
ここでいう「Alto」とは歌のアルトパートのようです。よかったら音源を聴いてみてください
五線記号
「五線記号」をクリックします。
テキストにチェックを入れているのですが、サブタイトル、作曲者名は読み込めなかったようです。
ここで加えることもできますが、それは後で編集しましょう。
音部記号、調号、拍子、小節線が読み込めていれば大丈夫です。
認識実行
では、「認識実行」をクリックしましょう。あっという間にデータ化されると思います。
できました。スコアの読み込みでは出なかったModeratoがしっかり読み込まれましたね。何か法則があるのでしょうか?タイトルの「-サックス四重奏」を消しておきましょう。
「楽譜の設定」を開き、
「作品の情報」から「タイトル」で必要ないところを削除します。ここでサブタイトルや作曲者名など記入できますが、後程にしましょう。
一度、再生しながら読み間違いなどないか確認してみましょう。
メトロノームを鳴らしたいときは、「演奏」から「メトロノーム」をクリックし、チェックマークを付けます。
「名前を付けて保存」します。「行進曲『威風堂々』第1番A→S」とでもしておきましょう。
より詳しい解説は「スコアからパート譜を作成」の記事をご覧ください
楽譜の移調
まずは先頭の空白あたりをダブルクリックし、パート全体を選択します。
1パートしかないため、選択しなくても次にいけました
右クリックで「パート」をクリックし「パートテンプレートの適用」を選択します。
「パートテンプレートの適用」画面が開きますので、「ソプラノサックス」を選択します。「音高の自動変換」にチェックを入れます。
ジャンルは「吹奏楽」にしておくと見つけやすいです。
「OK」をクリックします。
音高の自動変換にチェックをお忘れなく!チェックがないと楽譜が移調されません(音は移調されているようです)
ソプラノサックスの楽譜に移調されました。配置は同じですが段数が増えています。
楽譜のレイアウト
では、元の楽譜に近づけていきましょう。
終止線の設定
まずは下の余分な五線を削除します。
終止線を選択し右クリックで「終止線」、「終止線を楽譜の終わりとして入力」をクリックします。
楽譜の設定
五線の最大段落数の指定
次に、「楽譜の設定」を開き、
「五線」で「最大段落数を指定」にチェックを入れて楽譜通りの5を入力します。
「適用」をクリックします。楽譜が変化しましたね。
用紙の余白の設定
次に、下の空白を埋めるため、用紙の余白の設定をします。
「用紙」から「余白」の上をとりあえず30mmにします。ここに決まりはなく、楽譜を見ながら数字を入れていくといいと思います。
「スコアからパート譜を作成」で作った楽譜が元ネタなので、この場合「30mm」で同じ余白となります
「適用」をクリックします。下に移動しました。
フッター(ページ下)設定
次はページ表記を削除し、「https://sxhikaru.com/」と入力しましょう。
(しなくてもいいですけど…)
単純にページ数を非表示にしたい場合は「先頭ページは表示しない」にチェックを入れてください。その他、ページを左右に振ったり、表示方法を変えたりなど編集できます。
「適用」をクリックします。
作品の情報設定
次に「作品の情報」で「サブタイトル」など入力していきます。
サブタイトル:Pomp and Circumstance March No.1
左タイトル:Sop.Sax
作曲者:Edward Elgar
上記を、それぞれ入力しました。「OK」をクリックします。この時点ではまだサブタイトルなど楽譜には表示されないのでご安心を。
ここまでの楽譜レイアウト
テキスト入力
左のモードバーから「テキスト入力」(何種類かあります)を選択し「種類」で「サブタイトル」を選択します。
すると鉛筆と共に「作品の情報」で入力した「サブタイトル」が表示されているので、そのまま「タイトル」の下にクリックしましょう。赤い点線は中央に配置できたときに表示されているようです。
引き続き、左タイトル(楽器名)、作曲者名をガイドを見ながら入力します。
入力が終わったら矢印マーク(選択)に戻りましょう。
フォントのサイズ変更
フォントのサイズを変更しましょう。ここでは「スコアからパート譜作を作成」で変更したサイズを参考にしてみます。
タイトル:19→22
サブタイトル:14→12
左タイトル:14→16
作曲者:14→14(そのまま)
位置の調整
右下の「定規」をクリックし、定規を表示させます。
定規を目安に位置を調整します。
こちらも「スコアからパート譜作を作成」を参考にしています
最後の仕上げ
あともう少しです。頑張りましょう!
五線先頭の楽器名を消す
今回は1パートしか読み込んでないのでパート譜に見えますが、スコア扱いとなっているのでしょう。
パートを選択し「プロパティ」を開き、
「パート名」を削除します。
ちなみに、ここの変更で表記が変わります
小節の最初に空白を入れる
1小節目をクリックし、右クリックで「段落」をクリック、「段落の分割」を選択します。
メトロノーム記号を入れる
左の「モードバー」から「五線記号入力」を選択し「メトロノーム記号」をクリック。そのままModeratoの右隣にクリックし張り付けましょう。
矢印(選択)に戻ったら「メトロノーム記号」を選択し、右クリック「プロパティ」で
値1を80に変更しましょう。
微調整をする
リハーサルマークを少し左に、一番下のデクレッシェンドを少し下に移動させました。
ここで完成といたします!
さらにこだわる
画像をご覧ください。
全て同じ設定で作成したはずなのに、なぜこのような違いが出るのでしょう。
「五線の高さ」が違いました。ソプラノの楽譜は元のPDFを読み込んだ時に自動で設定され、アルトの楽譜はパート譜作成時のデフォルト(7.2mm)の高さでした。
確認すると、Sop.Saxは6.6mm、Alt.Sax1は7.2mmとなっています。「楽譜の設定」を開いてSop.Saxの楽譜を変更します。
同じになりました。
はい、最後に比較して気が付きました。「五線の最大段落数の指定」の時点で気づいた人すごい!
続きもぜひご覧ください。