発表会などで演奏する機会があるとします。基本はカラオケ音源(CDなど)を使うとして、会場にはピアノがあり、ピアニストもいるとしたらそのカラオケからピアノのパートだけを抜いてサックスとピアノのデュオができたら素敵ですよね!
今回は、私が以前生徒さんに作成した過程をもとに記事にしていきます。なるべく労力をかけずにどのように楽譜を作成しているか、ご参考になれば幸いです。
サックスソロの楽譜はこちらから選曲。
アルソ出版の「ザ・サックス・グレイテスト・ヒッツ」より「Twilight in upper west」です。サックス吹きなら憧れの一曲という方も多いのではないでしょうか。この曲ならぜひともピアニストと共演したくなりますよね!
T-SQUARE「Twilight In Upper West」 @「HORIZON」発売記念限定ライブ - YouTube
- まずはMIDI音源を入手
- スコアメーカーでMIDIファイルを読み込む
- いらないパートを削除
- ピアノパート譜を作成
- 楽譜を整理していく
- 楽譜作成ソフト/Sibelius で仕上げる
- カラオケを作成
- 市販の楽譜は安い
まずはMIDI音源を入手
音源から楽譜を起こすのは大変なことです。中には耳コピでサラサラっとできる方もいるかもしれません。でも、そう多くはないですよね。私も少しは人より耳コピできるかもしれないけど、ものすごい時間と労力が必要となるでしょう。その時間をお金に換算しても買ったほうが安いと思います。
ヤマハミュージックデータショップ
私が長年利用しているMIDIファイルが購入できるサイト、「ヤマハミュージックデータショップ」。膨大な数のMIDIファイルがあり、メジャーな曲はほぼあるでしょう。新曲もどんどん公開されています。
まずは検索してみます。ここでなかったら諦めることもしばしば。
ありました。ここからさらに絞っていきます。
「楽器演奏用」を選び検索結果を見てみましょう。
ありました。ほしいのはまさにこれです。
試聴してみて間違いなければ購入します。
私はお得な「MIDI定額サービス」を利用しています
プリント楽譜
こちらもヤマハ系列でたくさん楽譜を購入させていただいています。MIDIも販売しています。同じものを販売しているのかと、一度試しに同じ曲を購入してみましたが、まったく同じ内容ではないようでした。値段設定は統一しているようです。
こちらにはないようですね。
スコアメーカーでMIDIファイルを読み込む
たいていの楽譜作成ソフトにはMIDIファイルを読み込み楽譜にする機能があると思います。今回は「スコアメーカー」を使ってMIDIファイル(SMF)を読み込み楽譜を作成していきます。
「SMF」とはスタンダードMIDIファイルのことです
SMFインポート
「起動画面」より「SMFインポート」を選択し、
MIDIファイルを開きます。
あらかじめデスクトップにフォルダを作成し、関連ファイルを保存するようにしています
設定
「オプション」のクオンタイズを32分音符にし(途中のピアノソロに細かな動きがあるため)、アーティキュレーション、強弱のチェックを外します。
「クオンタイズ」とは、発音のズレを強制的にジャストのタイミングに揃える機能です
調号や拍子はもともとMIDIファイルに入っている情報です。たまにMIDIファイルに情報が入っていないときがあるので、その場合は設定します。後からでも設定できます。
XGワークスの「マスタートラック」
その他はあまり考えず「OK」をクリックします。
少し時間がかかりますが、このように開くことができました。
保存をしましょう
いらないパートを削除
一度再生してみて必要なピアノパートをチェックしてみましょう。
12ページ目の一番下に「ピアノのソロ」がありました。この3パート以外は全て削除することにします。
「Ctrl」キーを押しながら五線の左辺りをダブルクリックし複数選択していきます。
全て選択出来たら「右クリック」→「パート」→「パート削除」していきます。
このように3パートだけが残りました。
メロディーパートはガイドとして残しています
ピアノパート譜を作成
ではここからピアノパート譜を整理しながら作成していきます。
大譜表を追加する
MIDIから読み込んだ楽譜を上書きしていくよりはコピーしたものを比較しつつ作成していくのが間違いないと思います。
パートのコピー
大譜表を選択し右クリック、「パート」→「パートのコピー」を選択します。
コピーしたパートの追加
そのまま右クリック、「パート」→「コピーしたパートの追加/挿入」を選択します。
コピーされた大譜表が追加/挿入されました。
選択したパートの上に追加/挿入されるようです
楽譜を整理していく
このままでは不完全な楽譜です。見やすく弾きやすいように整えていきます。
上が元の楽譜、下が整理した楽譜です。ピアニストの方がすぐに演奏できる楽譜を目指していきます。
再生しながら確認
右にある「ミキサーパネル」をクリックし、
3パート目の「ソロスイッチ」をクリックすればそのパートだけ確認できるので耳で聴いてしっかり確認していきます。
ミュートされているパートはグレーになっているようなので、作業しやすいかもしれませんね。このまま進めていきます。
メロディも同時に鳴らしながら確認してもいいかもしれません
ピアノソロの部分
ピアノのソロの部分は、大譜表を左手にまとめて右手にメロディを配置しました。
ここからは実際にMIDI音源を聴きながら配置していきます。
かなり時間のかかる作業で、仕上がりはホントに弾けるのか?となりました
余分なパートを削除
最後までできたら整えていきます。「名前を付けて保存」で別ファイルを作成してから作業をします。元の大譜表とピアノソロパートの2パートを削除します。
仕上げていく
サックスのソロ譜を見ながら余分な小節を削除したりリハーサルマーク、ダブルバーなどを加えていきます。さらにサックスパートも元楽譜を読み込み貼り付けます。
読み込み、
整えていきコピーして貼り付けます。
操作方法は前の記事を参考にしてください。
アルトサックスのキーは「-9(Eb)」と覚えておきましょう。サイズを60%くらいにすると感じがでます。
標準の5線の高さ 6.0mm
最大段落数 4段
リハーサルマークのフォント 12
と設定しました。
完成です。最後にプリントして確認します。
余裕があればコードネームを記入しましょう。さらに完璧な楽譜に近づきますね。
楽譜作成ソフト/Sibelius で仕上げる
おそらく日本で販売が始まった頃(Sibelius2?)からのユーザーです。途中、Avidがからんできた頃から急に扱いにくくなった印象がありますが、今でも愛用しています。
なので、私はこちらを使ったほうが早く仕上げることができるのです。コード入力もこちらのほうがスムーズです。
今は、楽譜読み込みは「スコアメーカー」、楽譜の仕上げは「Sibelius」と両方を使って楽譜を作成しています。やはり、より本格的な楽譜を目指すならFinaleやSibeliusでしょう。さらに出版するレベルならAdobe Illustratorなどで仕上げていきます。
MusicXMLファイルにエクスポート
「MusicXML」とは楽譜データを記録、交換するためのフォーマットの名前で、各種の楽譜ソフトウェア上で楽譜を開くことができます。
注意書きが出てきますが、「はい」「OK」と進んでいきます。
できました。上が「スコアメーカー」のファイル、下がMusicXMLファイルです。
Sibeliusで開く
「クイックスタート」の「インポート」から開いていきます。
ファイルを選択します。
ファイルの中身はこのようになっているんですね。
チェックは上2つは外し下の2つには入れるとだいたいうまくいきます。
ざっくりな感じですが、開くことができました。
ここから仕上げていきます。Sibeliusの操作方法は省略します。
はい、このような楽譜が完成いたしました。
このピアノ譜がはたしてピアニストの方が弾ける楽譜なのかはわかりません。サックス奏者の我々ができる範囲で作成したピアノ譜を渡したら、あとはピアニストに託しましょう。例えば発表会などで生徒さんが弾くならきっとピアノの先生が弾きやすくアレンジしてくれるはずです。
カラオケを作成
このピアノ譜はあくまでもカラオケに合わせる前提でMIDIファイルのピアノパートを取り出したものです。演奏するときにはカラオケが必要となります。
MIDIファイルからオーディオ化
MIDIファイルを編集できるソフトでサックスとピアノをミュートしオーディオ化します。
XGワークスの画面。ホントに単純明快で使いやすいソフトです。復活してほしい!
市販の楽譜は安い
この楽譜を作成するにあたり、まずは市販の楽譜がないか探しましょう。ここまでの苦労を考えたら買ったほうが安いです。
お世話になってる「Piascore」さんにもありました。勝手ににリンクを貼らせていただきますが、
ピアノ譜もあり330円だなんて!ピアノのソロの部分の解明にとても労力を使うから、こちらの楽譜を購入して「スコアメーカー」で読み取りコピーして貼り付けさせていただいたほうが早いですよね。
色々工夫をして効率よく楽譜を作成しましょう